山の上の家族
「みんなー!隠さないで持ってきたお酒全部だしなさーい!!」
ミコ先生がみんなに声をかける。
行きの車内で各々なんのお酒を持ってきたのか話しているうちに、お酒が大量すぎやしないかと気付いたのだ。
包み隠さずぜーんぶ出してみるとこんな感じで。
.........合計12ℓのお酒ってどういうこと?
これだけでこの旅をみんながどれくらい楽しみにしていたのかが伺えて微笑ましいなぁ。笑
って、そうじゃない!!!
微笑ましいとかじゃなくって、こんなに呑めないんだから選抜しないと。笑
「梅酒4ℓ呑んだら糖尿になるから1ℓに...」
「いや、これは絶対呑むからせめて2ℓで」
「ビール2ℓもいるかなぁ...寒いだろうし減らす〜?」
「いや、6人で割ったら1人300mlちょっとでしょ、呑むでしょ!」
.........なかなかみんな引かない。
飲ん兵衛達が集まるとお酒抗争が勃発するのか。
結局そんなに量は変わらず、みんなそれぞれがお酒や鍋やガスコンロを分担してズッシリと。
呑むって言ったからにはヘコたれないで最後まで運んでね〜!笑
雁坂トンネル有料道路の駐車場(無料)から、山梨市観光協会さん作の味のある可愛い看板を横目にゲートをくぐって旧道へ。
はじめは1時間ちょっとの林道歩き。重い荷物に体を慣らしながらみんなでテクテクと進みます。
都内では早々に散ってしまった桜も、山梨ではまだまだ楽しめました。
わかりにくいところには地面に直接マーキングがありました。笑
カタカナでカリサカって、かわいいね。
じわじわダラダラと続く道に、汗をダラダラとかきながら。
山道はまだかーまだかーと愚痴りながら進みます。
ようやく向こうに雁坂峠に続いているであろう稜線が見えてきました。
山の麓では新緑が生き生きと瑞々しく輝いていて、沢に冷された風がとても気持ちが良かったです。
登山道に入って行くと、生い茂った木々が太陽の光を遮ってくれて快適な気温。
さっきまでかいていた汗がどんどん乾いて爽やかだ〜
ここから先、井戸ノ沢出合まではアップダウンも少なく気持ちいいハイキングです。
細く水が流れているところも、岩がスベッとナメになっているので滑りやすい。
張ってあるロープでサポートしながら渡って行きます。
荷物が大きく出っ張ってしまっているので、岩にザックを引っ掛けないように慎重なわたし。
やっと暖かくなってきたからか、カエルも冬眠からお目覚め。
天敵のヘビも起きてくる頃だろうから食べられないように気をつけるんだよ〜
フラットでふかふかと柔らかい道。
倒木にひっかからないようにみんなで順番にくぐって行きます。
気をつけてもザックが大きいと、距離感がわからないからだいたい引っかかっちゃうよね。笑
2つめの渡渉は水量がちょっと多め。
みんなが渡るのを上から眺めていたら、オコジョ君がツルっと滑ってボチャン!
靴がビッチョンコになってしまっていました。笑
※テン場に行ってからわたしのアプローチシューズ(サイズ合わない)に履き替え。
岩の上を滑るように流れて行く綺麗な水。
沢の音を聞いているだけで気分が涼しくなってくる。
渡渉するところもあれば、丸太を渡るところもあって。
落っこちないようにバランスよく!
赤いザックはオコジョ君。
わたしが3年前に購入して1回使ったっきりで押入れの肥やしにしていた50Lザックを、オコジョに継承しました。笑
ザックの形が変なのは、大きな鍋が丸々パッキングされているから。
早速破かないようにね〜!笑
沢沿いの登山道をトラバース気味に登って行くところもあって、足元が悪いところもありました。
大きなザックを背負っている時はバランスが取りにくいのでゆっくりゆっくり。
基本的には沢に沿って行くので、沢の終点まではあまりアップダウンはなく歩きやすい道です。
崩れているところもあって不明瞭なところもありましたが、崩れているところは高巻きして行けば大丈夫。
大きく崩れているところは細いけどトラロープも張ってあるので安心でした。
沢の終点、井戸ノ沢に到着〜!
ここから先はさっきまでのアップダウンの無いゆるゆるルートから、ひたすらの登りが続きます。
ふーはー、ふーはー。
笹の茂るつづら折れの急登.......なかなか展望が開けないので気持ち的にもとってもしんどい。
ずっしりと重たいザックが一歩一歩を重たくさせる〜
おや。
みんなが向こうを眺めてる。
街の向こうに富士山だ〜!!!
まだまだ周囲の樹々は背が高くて樹林帯の中ではあるんだけど、時折見晴らしのいい場所に飛び出します。
富士山のご褒美に元気になって、後を振り返るとまだまだ稜線に上がるには距離がある....
地図を見て想像していた以上の急斜面。
そこを縫うようにジワっジワっと登って行きます。
少しずつ背の低くなっていく樹々のおかげで、開放的で気持ちがいいんだけど.......太陽サンサンであーつーいー!!笑
見上げると空は真夏のような色なのに、枝はまだまだ冬仕様。
朝晩はものすごく寒いのに昼間は暑くて。
麓では春の花がたくさん咲いて新緑も美しいのに、登れば登るほど葉を枯らして身を縮めた冬の姿の樹々があって。
4月の山は季節が色々混じっていて面白いなぁ。
歩きながらふと笹原の斜面に目をやると、白く目立つ何かがコロンと。
『わーっ!!見てみて〜鹿の頭の骨だよ〜っ!!』
お宝発見!やったやった〜!!!
テンションMaxに喜ぶわたしとミコちゃん、対して男子達は「そんなの良く触れるよね...」と引き気味でした。笑
なかなか見る事も無いのでまじまじと.....表面骨の下の海綿骨がスポンジみたいで。
表面に入る細かいヒビは徐々に大きく成長する時にできた名残なのかなぁ。
鹿の骨は去年木曽駒ヶ岳(赤石温泉)に行った時にも拾っていて。
その時に見つけたのは下顎だったからあのとき取っておけば今回の上顎と合わせてコンプリートだったのになぁ〜!!!笑
鹿の頭蓋骨で元気をもらってラストスパート〜!
稜線に飛び出せば雁坂峠だよ!
あっちに見えるピークは雁坂嶺です。
少しでもショートカットをしたいがために、ルートから外れてケモノミチを直登!!
だけど、残念ながらさすがに獣ではなかったようで急斜面にヒーハー。笑
それでも頭蓋骨は離さないので、オバケだオバケだと言われました。
雁坂峠に到着〜
ここは日本三大峠のひとつ。
雁坂トンネルが開通するまでは車でここを越えることができなかったので、ハイキングコースが国道に指定されていたんだって。
吹き抜けるように冷たい風がびゅーっと火照った体を冷ましてくれます。
こちらは水晶山や笠取山に続く稜線です。
富士山が見えるのがわかるかなぁ。
雁坂は瑞牆山から雲取山を結ぶ約60kmある奥秩父縦走路のちょうど真ん中あたり。
いつかここも繋げて歩いてみたいなぁ。
今日テントを張る雁坂小屋は峠を下ったところにあります。
お腹ペッコペコだし、早く行こ〜!!
わたしの前を歩くミコちゃん。の、ザック。笑
鹿がくっついてる〜!!笑
どうやらテン場まで持って行くことにしたみたいです。
「女子テントの前に置いておけば、変な人よってこないでしょ!」って。笑
元からわたし達のテントによってくる人なんていないと思うけどね。笑
青いトタン屋根に飛んで行かないように重しの石が乗っかっていて......こ、これは!!
わたし好みのほっこり小屋だ〜♡♡♡
受付しなくちゃーって下っていたら、小屋の敷地内に入る前に小屋番さんがなつっこい笑顔で迎えにきてくれました。
受付前だというのにさっそく小屋周辺に見える山のガイドをしてくれたり。笑
「ほら!あそこにハートマークがあるでしょ!」
ってコメツガの木で出来た自然のハートマークを教えてくれたり。
(写真に写っているから探してみてね!)
左から、両神山、赤城山、日光白根山、男体山。
写真には写ってないけど奥のほうには至仏山や燧ヶ岳が見えます。
こちらは和名倉山や雲取山が見えます。
一通り教えていただいたところでやっとこさ受付です。笑
受付の時も他のみんなは先にテン場に連れて行ってくれて、色々とお気遣いして下さいました。
小屋スタッフの方達の雁坂愛がバンバン伝わってきてとーっても心地いい〜。
雁坂小屋のテン場は樹林に囲まれているので雨風が凌げるし、瑞牆山や金峰山のテン場みたいに地面がフッカフカで整地いらず。
ペグも手で刺さるよ。
今回は6人で2人用テントを3つ。
最近はグループできても各々ソロテン泊をする人が多いみたいなんだけど、ぎゅっとみんなで寝るほうがわたしは好きだなぁ。笑
今日はわたしのNemoテントにミコちゃんが居候〜♡
しかし当てられた場所がちょっと狭くて。笑
みんなであれこれ言いながらギッチリ村ができました!
テント設営が終わったら早速かんぱーい♡
持ってきたビールは2Lも要らないだろ〜って少し減らしたけど、むしろ全然足りない。笑
標高のせいなのか泡がいっぱいになってしまって、液体を飲みたいのにいくらコップを傾けてもアワあわあわゎゎ。笑
待ちに待ったごはんの時間。
さぁ今日のメニューはなんでしょう〜♬
これはミコちゃんが持ってきてくれた鴨肉なんだよ〜!!
他にはちらっと揚げと水菜が見えてるねぇ。
正解はこれ〜!!!
じゃじゃん〜鴨鍋でした〜っ♡♡♡♡♡
みんなで持ち寄った食材をどどどどーんと投入して、ミコちゃんがわざわざ作ってきてくれたお出汁2Lをドバーっといれて、くつくつくつくつ!
...........オコジョがお玉を忘れるから(わたしの連絡ミス)、コップで具をすくうというワイルド鍋に。
頑張って食材&鍋コンロを歩荷したおかげで、こーんなに美味しい幸せごはんにありつけました。
どんなに重たくても気合いで頑張れるのはみんなで食べる食事が待っているからこそ。
あっという間にお酒も姿を消して行く〜
鴨の出汁が染み染みの美味しいスープで体もぽっかぽか〜♡
美味しいね、幸せのひとときだね〜
ひとしきり食べ終えて、わたしとミコちゃんは男子を置いて小屋にお土産を買いに行くことに。
忘れないうちにバッヂと手ぬぐいを買わなくっちゃ〜!
『こんばんは〜っ!』ってドアをガラっと開けると。
おや、テーブルでお鍋コトコト...缶つまを炙りながら、小屋番さん達は夕食の提供を終えて晩酌中。
「お、いらっしゃい!まぁココ座りなよ〜」
「寒いからストーブの近くで温まって行きなよ〜」
「とりあえずワイン飲みなよ〜」
ってそれ小屋のお酒ーっ!!!笑
お土産を買いにきたはずなんだけど、電光石火の早業で着席&晩酌参加となりました。
ワインやら梅酒やらいいちこやら....みんなのおつまみも分け与えていただいて。
素敵な笛の演奏も聴かせてもらって、ぬくぬくほこほこ気持ちよく呑むこと小1時間。
..............あれ?
なにか忘れてないか?
外に男子を置きっぱなしにしたままだった!笑
隙を見てミコちゃんがみんなの様子を見に外へ出ると、彼らは忠犬のように外のテーブルで待機したまま....あまりの寒さにテントへ撤収しようとしているところだったそうです。
(極寒の中ずっと待ってたんだね笑)
その恨みから、そこからずっとババァと呼ばれたわたしとミコちゃんなのでした。笑
あまりの寒さに凍死寸前の男子達を引き連れてミコちゃんが小屋に戻ってきたあと、再び小屋で呑みなおし。
あったかいって天国だよね。
酔っぱらってグースカしているわっくんを起こして、わたし達もテントへ戻ります。
寝る前にトイレへと向かうミコちゃんとわたしは、あまりの楽しさに
『やばいぃぃ〜楽しい〜しあわせ〜ありがとーう♡』ってギューっとハグ。笑
わたし達もわっくんの事言えないくらいへべれけだったね〜むふふ。
帰り際に小屋番さん達が2Lペットボトルの湯たんぽを1人1本渡してくれたおかげで、ぬっくぬくで眠ることができました。
(途中暑くて靴下とダウン&フリースを脱いじゃうくらい。笑)
心も体もとってもポッカポカだったのでした。
本当にありがとうございました!
・
テントに戻ってミコちゃんとくっついてシュラフの中へ。
楽しかったね、寝るのもったいないけど眠いね、酔っぱらったねぇ...なんて話しているうちに、いつの間にかぐっすり夢の中。
山の上で、山の中で、仲間達と過ごす時間はどうしてこんなにも濃密で充実で幸福感に包まれるんだろう。
街で流れる時間と同じ時間のはずなのに、むしろ眠るのなんていつもよりも早いのに。
山の時間はゆっくりと流れているように感じる。
だけど楽しすぎてあっという間に過ぎ去ってしまう。
不思議なところだなぁ。
山の上で、山の中で、仲間達と過ごす時間はどうしてこんなにも濃密で充実で幸福感に包まれるんだろう。
街で流れる時間と同じ時間のはずなのに、むしろ眠るのなんていつもよりも早いのに。
山の時間はゆっくりと流れているように感じる。
だけど楽しすぎてあっという間に過ぎ去ってしまう。
不思議なところだなぁ。
○コースタイム
雁坂トンネル駐車場(登山口)(10:15)---沓切沢橋(10:50)---井戸ノ沢(12:40)---雁坂峠(13:50)---雁坂小屋(14:10)
※雁坂トンネル駐車場は道の駅みとみから車で10分ほど上がったところ。
※休憩時間計40分含め、4時間
○アクセス
行き/マイカー 雁坂トンネル駐車場(無料)
帰り/同上
○今回のやまのぼりアイテム
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返信削除たたられる!ウギャー
くわばらくわばら笑
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腹減りた((+_+))
ちゃーたwさん
削除なぬ!天狗様じゃとー⁈
たたられたからホワイトアウト⁇笑
鴨蕎麦おいしいよね〜
こんどこの鍋をみんなで山に行った時に使おうね〜‼︎